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小中学校では夏休みが始まりますが、海外に出かける人も多いのではないでしょうか。海外に出かけると、いろいろなトラブルに遭遇するかもしれません。やれ乗り継ぎの飛行機が遅れたとか、盗難にあったとか、目的地にたどり着けない、とか。

実は私も、バルセロナを旅行中にパスポートをスられてしまったことがあります。明後日にロンドンに移動することになっていたので日程的にもギリギリでかなり焦りました。
物事は慣れてきた頃が気の緩みが出て一番危ないと言いますが、まさにその通り。海外滞在を繰り返しそれまで何事もなかったこともあり「そんなに言うほど危なくないじゃん」と思い完全に油断していました。
パスポートケースをバックパックのポケットに入れて地下鉄で普通にバックパックを背負っていたのです。スリからしたら一番スりやすいですね。「あれ、バックパックを誰か触っているかも」と気づいた時には時すでに遅し。ホームを走り去るスリの後ろ姿を見送ることしかできませんでした。

というわけで、そのときの経験をもとにここではパスポート紛失時にどのような手順で何をすべきなのかまとめてみたいと思います。

■ まずは警察へ

パスポートを紛失した時は、大使館または領事館(以下では簡略化のためまとめて大使館とします)に行くということを知っている人は多いようですが、実はいきなり大使館に行っても、まずは警察で”紛失(盗難)届出証明書”を発行してもらってください、と言われるようです。大使館側でも、公的な証明が無いと何も手続きできないので如何ともしがたいところです。

というわけで、トラブルにあった場合は基本中の基本でまずは警察署に行き紛失(盗難)証明書を発行してもらってください。
だいたい地球の歩き方などのガイドブックには、現地語で「パスポートを無くしました」という言葉が紹介されていることが多いので、ガイドブックの後ろの方を探してみてください。
必要事項に記入すると紛失証明書を発行してくれます。これはパスポートが無い間公的身分証明にもなるので大切に保管してください。

■ 持つべきものは友達/肉親だ

実はここが一番ハードルが高いんですが、現地でパスポートを発行してもらうには戸籍謄本などの公的書類がいるのです。
従って、日本側で誰か親しい人にできるだけ早く居住地の役所まで行ってもらって代理で戸籍謄本などの公的書類を取りに行ってもらう必要があります。(私の場合は妹でした。突然ですが対応してもらえて非常に助かりました。)

親類に取りに行ってもらったりする場合で、両親と異なる場所に住んでいたりする場合には、自分の居住地、例えば東京までわざわざ来てもらう必要があるので注意が必要です。
とにかく、平日などにすぐに役所に行ってもらうという社会人には結構ハードルが高いことをやってもらう人を探す。これをすぐにする必要があります。時差もあるので時間との勝負です。

入手した戸籍謄本はFAX、またはスキャンしたデータを大使館に送ります。まずはデータで大丈夫です。原本は後日郵送する必要があります。

日本で動いてもらう人がITなどに疎い人の場合は、「書類をデータで送る」というのに結構苦労するかもしれません。FAXも国際電話のやり方を知らない人は結構います。両親世代の人に頼む場合は遠隔でこれを指示するのは大変でしょう。

紛失証明書発行、大使館への届け出、日本での戸籍謄本の取得ができれば手続きはほぼ完了したも同然です。
すべての書類を提出したら、半日から1日程度でパスポートが再発行されます。これは一時的な仮のものではなく、通常正式なパスポートです。これまでのパスポートは無効手続きが取られるので、もし前のパスポートが見つかっても使用すると通報されるので注意してください。

これまでの過程で何度も大使館に行くことになります。面倒ですが致し方ありません。観光スポットから離れた場所に大使館がある場合は満足に観光もできなくなるので大変だと思います。

■ 入ってよかった旅行保険

旅行保険というと現地での怪我や事故に対応するためのもの、という感じがしますが、実はパスポートの再発行費用も旅行保険でまかなうことができます。万が一パスポートの発行が間に合わずホテル延泊となった場合の費用も出ます。
事故・怪我以外の場合もこういうケースで使えるので、やはり入っておくのが無難です。

よく旅行/出張にいくひとは旅行保険付帯のクレジットカードを持っておいた方が得かもしれません。クレジットカードの付帯保険は旅行に行く回数などに制限がありませんので、年会費を払う場合でも特になる事が多いです。

■ 一にも二にも用心

これまでの流れをまとめると、以下のような手続きの流れになります。

- 警察に行き紛失(盗難)証明書を取得
- 大使館/領事館に届け出
- 日本で親しい人に連絡し役所で戸籍謄本を入手してもらう
>データを送ってもらう

帰国後
- 戸籍謄本の原本を大使館/領事館に郵送
- 保険会社・カード会社に連絡し保険求償の手続き

大事な事は、焦らない事です。必要な手続きを淡々と進め、かつ焦らずに旅を楽しめる余裕を持ちたいところです。

大前提として、パスポートを盗られるなどということがなければ問題になりませんので、一にも二にも用心が大切です。
私のように油断しないように。。少しの用心で旅を楽しいものにできるのであれば、その方が良いですからね。

普通に日本企業で勤務していると、解雇、いわゆる「クビ」の現場に遭遇する事はなかなかないと思います。昨今は日本でも整理解雇が増えているとはいえ、依然日本はクビにするのは非常に難しい国です。

通常、日本では「社会通念上相当である」と認められない場合は解雇する事が出来ません。大体解雇が認められるのは、不正などの懲戒になる事由があった場合か、会社の業績が深刻に悪化しており整理解雇をしなければ立ち行かない場合くらいです。つまり、パフォーマンスを理由にしての解雇は出来ないということです。

アメリカではこれが全く異なります。
私は米国の現地法人で従業員の解雇に立ち会った事があります。
米国の解雇については知識としては知っていましたが、やはり日本企業に勤める日本人としては衝撃を受けたものでした。

■「解雇しようと思うんだけど・・・」

クビになった従業員は解雇の4ヶ月ほど前に採用されました。プロジェクトマネージャー(米国人。仮にAさん)の業務負荷が増大する中、このままでは仕事が回らないのでそのマネージャーの判断で採用した人物(こちらも米国人。仮にBさん)でした。

採用の際のレジュメ(職務経歴書。日本で言う履歴書のようなもの)ではBさんもプロジェクトマネージャーの経験があり、まさにうってつけの人材であるはずでした。ですが、結果的には期待した働きは全く出来ず、Aさんの負荷は全く軽減されませんでした。

Bさんが解雇になる直前にはAさんからひたすらB愚痴を聞かされ続けました。採用したのは自分だけど全く助けにならない、何も出来ない、彼が何をやっているのか分からない、云々。。。
「あー、これはクビになるのも時間の問題だなー」と思っていたら、やはりこうきました。「Bを解雇しようと思うけど、いいか?」

AさんとBさんはもはや業務上の会話もほとんどなく、実際の業務負荷も相当なものになっていたため、何らかの手を打たなければならない事は分かっていましたし、アメリカの場合、解雇自体は珍しい事ではないので何れにしても離職するのであれば早い方がいいです。「君の状況は理解してるし、実際助けになる人材を入れなくちゃいけないのは確かだから、仕方ないね」と答えたりしていました。

そしてその日の朝、こう言われました。「今日クビにするから、よろしく。言うときは同席してくれ」。マジかよ。こっちは現法の社員じゃないし、BさんのボスはAさんなんだから、直接関係ない私がいるのはまずいんじゃないの、と思いましたが。。。

■明日からこなくていいよ

噂には知っていましたが、米国流の解雇は非常に衝撃的なものでした。

AさんはBさんに次のような事を告げました。
・こんな事は言いたくないが、これ以上あなたを雇用し続ける事は出来ない。
・今の職務にあなたは合っていない。
・以前の職場でプロジェクトマネージャーをやっていたというのは今となっては信じがたい。
・悪いが明日から来なくていい。

日本の会社では解雇の際は30日以上前に通告しなければいけませんが、米国ではその限りではありません。明日から、とは。。知ってはいたが。。。
Bさんはあと1ヶ月チャンスをくれないか、と言いましたが、「残念だけどそれは出来ない」との返答に、納得するしかありませんでした。

そして、荷物をまとめるように、備品はまとめるように、経費として使った分はちゃんと払い戻すのでレシートを渡すように、などの事務的なやり取りをした後、荷物をまとめて30分後くらいにはBさんは出て行きました。解雇の通告があって約1時間ほど。これが米国流のクビの現場でした。

怒声もなく涙もない。非常に静かなプロセスでしたが、私の衝撃は小さくはありませんでした。

■契約としての雇用/労働

アメリカでは雇用者と労働者はあくまで労働力を提供して賃金をもらうという契約の概念に基づいて結ばれています。従って、従業員の側もよりよい条件があればためらわず転職していきますし、契約した職務が遂行できない場合は「契約不履行」として解雇する事になるのです。
これは、職務内容が個人ごとに明示されておらず、基本的には簡単に解雇する事が出来ない日本とは対照的です。

米国での雇用はかように不安定です。

しかし、悪い事ばかりではありません。
まず、明示された職務でパフォーマンスを挙げる事が大切なので、自らの仕事をちゃんとやっている限りは、休暇を取ろうが自由ですし、ご機嫌伺いに残業する必要もありません。また、業務外で自分の時間を犠牲にして上司に尽くす必要もありません。
理由はいろいろあれど、解雇は珍しい事ではないので、再就職で転職がマイナスに見られる事もありません。日本は終身雇用を前提とした社会になっているため、会社からクビを告げられたりしたら思い詰めて取り乱したりすることもあるかと思います。が、アメリカでは一度クビになったくらいでは世界の終わりにはならないのです。

ちなみに、日本でもあの手この手をつかってクビにしてるよ、という意見もあるでしょうが、その指摘は解雇条件が厳しいという事の反証にはなりません。
日本では、ストレートに「解雇」出来ないために「あの手この手を使って」会社にいられなくしたり、自発的にやめていくのを促したりしているのです。単刀直入に解雇に出来ればわざわざ追い出し部屋を作ったりいわゆる窓際部署を作ってプレッシャーをかけたりする人はいないでしょう。が、これはまた別の話。。。

本来は日本流とアメリカ流の間に相応のバランスがあるのでしょうが、このアメリカ流の解雇は、大部分の日本人にはなじみのないものである事は間違いないでしょう。

外資系の企業であったり、海外で就職しようという人は、このような厳しい一面もある事を覚えておいてください。ヘマさえやらなければ安定した生活が送れるというのは夢物語でしかないのです。

海外出張に行くと、自分で運転していい国とできない国があります(いわゆる会社の決まりとか慣習とかで)。言ってしまえば、ヨーロッパとアメリカでは自分で運転できますが、アジアやアフリカ、中東では運転手が付きます。
今回は、各地の自動車運転・交通事情に触れてみたいと思います。

■アメリカの場合 Drive or Die

アメリカはものすごい車社会であるということは以前の記事で述べました。したがって、1週間程度の短期の滞在ならいざ知らず、有る程度長期の滞在では自分で運転できないと二進も三進もいかないのです。運転できないと移動の自由度が大幅に下がります。もっとも、例によって大都市では別ですが。

そんなアメリカの運転事情はどうかというと、すこぶる運転しやすいです。道は日本に比べると広いし、運転者のマナーも非常によろしいです。あまりせかせかしていないのでしょうか、ハイウェイなどでも煽られたりすることはほとんどありません。意外なことにど田舎のほとんど交通がない交差点でも信号無視などにお目にかかることもごくごくまれです。

道路標識や行き先表示もわかりやすく、日本人にとってもかなり運転しやすい環境と言えるでしょう。(余談ですが、アメリカの地名にはヨーロッパの各都市からつけられたものが多く、なんでもない田舎町がLondonとかPragueとかだったりします。見ているとけっこう面白いです。)
さらに、国中を縦横無人に結ぶハイウェイも無料のため、料金受け渡しも発生しないので身構える必要もありません。

注意すべき点としては、速度や距離の表示がkmではなくmileなので、慣れないとイマイチ感覚がつかめないことです。65Mphってそんなにスピード出ている感じではないのですが、じつは100km/h超えなので結構なスピードです。だいたい1.6倍すればkm換算できると覚えておきましょう。

また、そこら中をPoliceやSheriff(保安官)が走っています。日本の比じゃないくらいいます。ので、スピード違反や危険運転はかなり厳しく取り締まられます。これが意外に運転マナーが良い理由でしょうか。
比較的マナーは良いとはいえ、警察がそこら中にいるので、しょっちゅうカーチェイスもどきが始まります。というわけなので、まっすぐ続くハイウェイで調子に乗ってスピードを出しすぎないようにして下さい。

■ヨーロッパの場合 石畳を走る

ヨーロッパはアメリカに比べ鉄道網も整備されているため、アメリカに比べると必須度は下がりますが、やはり少し田舎に入ると移動手段がなくなります。都市以外の滞在では必須です。

ヨーロッパと一口に言っても国も地域も千差万別のため、一概にひとくくりにはできませんが、やはり運転マナー自体は総じて良いです。アジアでよく見られるように、我先にと突っ込んでいくようなことはまずありません。
田園地帯などの景色は格別で、電車の旅とはまた別の趣があります。

注意すべき点は以下の3点です。
1. オートマではなくマニュアル車である
2. 街中は一方通行だらけでわかりにくい
3. 縦列駐車の鬼になれ

1. オートマではなくマニュアル車である
ヨーロッパはほとんどがマニュアル車で、オートマの車を探すのはけっこう難しいです。高級車はオートマ化していますが、レンタカーで小型車を借りるとかなりの確率でマニュアルしかありません。どうも昔のオートマ車は燃費が悪かったことと、価格が若干高いこともあって普及が進まないようです。
私はフランス出張でかなり久しぶりにマニュアル車を運転したため、街中で何度もエンストしてしまいました。3日もすると流石に慣れましたが。。

2. 街中は一方通行だらけでわかりにくい
ヨーロッパの街は割合小さい街でも歴史の古い街が多いため、現代の自動車の通行を前提とした道になっていません。道幅は非常に狭く、2車線を確保できる道が少ないため、必然街中は一方通行だらけになります。目的地はすぐそこにあるのに、どういうルートを通って行けばたどり着けるのか、一方通行の道をぐるぐる周り続けるということは珍しくありません。

3. 縦列駐車の鬼になれ
ヨーロッパの都市では駐車といえば縦列駐車です。路肩が駐車場扱いになっていて、そこにみんな停めるわけです。が、非常に車間が狭い!めちゃくちゃ狭い!
じつはみんなゴリゴリとバンパーを押し付けながら前後の車を押して入っていきます。ですから、駐車の時はギアをニュートラルに入れたまま、「サイドブレーキを引かずに」駐車します。サイドブレーキを引くとバンパーで押しても動かないからです。パリなどではこれが顕著で、私は自信がないので立体駐車場を探して停めていました。
ちなみにこのためバンパーがボコボコの車が多いです。(そもそもバンパーはぶつけるためについているという認識のようです。。)

とはいえ、総じていえば日本人でも違和感なく運転を楽しめるでしょう。

■アジアの場合 Drive in Chaos

私はアジアの各都市で運転したことはありません。
行ったことがある人はわかるでしょうが、アジアの主要都市の運転マナーは凄まじいです。みんな我先に進みたい先に突っ込んで行き、車の鼻先を先に入れた方が勝ち、というような世界です。自分だけ行儀よく待っていると、いつまでたっても先へ進めません。しょっちゅう事故にならないのが、不思議でしょうがありません。

おそらく、バンコクやジャカルタに駐在した人でも、自分で運転していた人はほとんどいないのではないでしょうか。それほど過酷です。カオスと言っても過言ではなく、町並みの賑やかさとあいまって成長する経済の凄まじさを体現しているようです。
また、大都市ではインフラの整備が追いついておらず、長大な交通渋滞が慢性化しています。そのうえ、経済が成長しているため車を購買できる層は飛躍的に増えており、抜本的な対策がなければこのまま深刻化していくでしょう。
さらに、バイク(原付二輪)が異常に多いため、油断していると突然横からぬるりと現れ冷や汗をかくことになります。

おとなしく運転手に連れて行ってもらうか、タクシーを使いましょう。

■中国の場合 Beeeeeep!

アジアと分けましたが、基本的には他のアジアの都市と事情は一緒です。ただし、少し違う部分もあります。

・とにかくうるさい
もうとにかくクラクションを鳴らしまくります。下手すると10秒に1度以上鳴らします。私が中国にいた時にお世話になっていたドライバーの一人は、手を常にクラクションの上に置いて走っていました。冗談ではなくいつも鳴らしています。
日本ではクラクションを鳴らす機会ってひと月に一度あるかないかだと思いますが、10分も乗れば半年分くらいのクラクションを聞くことになるでしょう。
あまりに鳴らすので、クラクション禁止の標識が掲示してあるところがあります。(ですがほとんど意味はありません)

・電動バイクの恐怖
意外に思われるかもしれませんが、中国では電動スクーターがかなり普及しています。90年代の始め頃は、中国といえばめちゃくちゃたくさんの自転車というイメージだったと思いますが、これがまるまる車と電動スクーターに置き換わったと思ってください。
何が怖いって、この電動スクーター、音もなく結構なスピードで近づいてくるので、気がついた時には横にいたりして巻き込んでしまうんじゃないかと気が気じゃありません。また、この乗り物かなりのスピードなのに免許不要なので、カオスな交通に拍車をかけています。

幸い、タクシーはそんなに高くないのでタクシーを使いましょう。

■アフリカの場合 道無き道を行く ランクルとパジェロの王国

アフリカも都市とそれ以外では全く事情が異なります。

都市はアジアに近い状態と考えて下さい。慢性的な渋滞に悩まされることになります。計画された都市計画がない場合が多いので、いたしかたのないところでしょう。都市部は治安も不安要素であるため、車を使わないというのも得策ではありません。

都市部を離れると、道なき道を進むことも珍しくありません。道があってもまったく整備されていなかったり、雨季には川が氾濫していたり。。。
そんなわけで、場合によってはオフロード車でないと話にならないのがアフリカです。ランクルやパジェロのような日本車はその信頼性から使用されていることも多いです。また、日本車の中古車がかなりの数走っており、意外なところで日本車のプレゼンスを再確認することになります。

自分で運転?パリダカにでも出たければ別ですが、そんなことを考えるのは無駄なので忘れて下さい。


このように多様な各国の車事情ですが、外国で車の旅をするというのはなかなか楽しいものです。公共交通機関だけだと、目的地のみを単純に結んでいくことにもなりがちですが、自分で運転していると、「ここにこんなものがあったんだ」と感心することも珍しくありません。

最後に、国際免許の取り方について触れておきましょう。
国際免許は、意外に簡単に取得することができます。各地の免許センター、免許試験場などに、顔写真と日本の免許証を持って行けば、ものの10分ほどで発給してもらえます。(東京であればココ)
試験も何もありません。本当に簡単なので、運転できる地域にいく方は取って行くことをお勧めします。

それでは、楽しい旅を。 Gentlemen, start your engines!


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車社会アメリカ

中国人は比較的転職にオープンです。日本人のように会社のために!とか、忠誠心とかいうのはチャンチャラおかしい話で、会社というのは労働の対価を払ってくれる場所、という認識なので、条件がいい場所が見つかればどんどん移っていきます。

また、自分が「もう耐えられない!」となったときも、容易に辞めていきます。景気拡大が続いた中国では、そんな場合でも働き口自体はたくさんありました。

そんな中国人労働者が最も辞めていきやすいタイミングは、「春節」と「国慶節」です。

■春節ってなんぞや

春節とは、旧暦のお正月にあたります。

日本ではよく、「旧正月」などという言い方をする場合もあります。
中国では、西暦の元旦よりも、この春節のほうを大事にしており、それはもう盛大に祝います。春節の時期に中国にいると、鳴り止むことのない爆竹の音に悩まされるはずです。中国人は春節の時期はほぼ確実に休みを取ります。この春節を利用して、遠出したり故郷に帰ったりするのです。

春節は中国人にとって一年で最も重要なイベントといても過言ではなく、この時期にワーカーを引き止めるのは無謀といっても差し支えありません。したがって、大型のプロジェクトなどではこの時期に進捗がとまることは必至です。

春節は旧暦に従うため、西暦でいうと毎年時期が変わります。
例えば、2013年は2月10日からで、2014年は1月31日からということになります。
毎年始まりが異なるので、中国で仕事をする人にとって春節の日程を確認しておくことは欠かせないことです。

■国慶節ってなんぞや

国慶節は、毎年10月1日に始まる中国の大型連休です。

実は春節と違って歴史あるイベントではなく、中華人民共和国の成立を記念して制定された休日です。春節と並んで中国人は楽しみにしておりこの連休も中国人はほぼすべて休みを取ります。
当然公的機関も休みになります。商社的に言うと、税関などもお休みになるので、貿易なども1週間程度停止してしまいます。

春節と違い西暦で計算するので、いつからいつまでがお休みになるかの確認は比較的容易です。
毎年国慶節には帰省や観光地への大移動が発生します。10億人を超える人口を擁する中国の行楽地は、この時期文字通りごった返します。日本のゴールデンウィークはまだ分散しているほうで、特定のサービス業の人以外はほぼすべて休みを取るため、その民族大移動っぷりはゴールデンウィークの比ではありません

■連休前 ~ 彼の姿を見たのはその日が最後だった

最初に述べたとおり、中国人は春節と国慶節の連休で辞めて行く人が多いです。

よくあるのが、連休明けに姿を見せない、戻ってこないパターンです。
おそらく郷里の暖かさに触れてそのままいったん故郷に戻ってしまったり、日ごろたまった不満からこれを機会とみて辞めてしまうのでしょう。また、一人っ子政策により過保護な環境下で育てられた "小皇帝" たちが、厳しい仕事の環境に耐えられず離職してしまうという背景もあります。

中国人は転職に抵抗はありませんし、拡大する景気の中で、工事現場作業者から知能労働者まで働き口はたくさんあったので、特に辞めることに関して問題はありませんでした。しかしながら、2013年あたりから中国の経済も減速傾向にあるため、就労環境の変化に伴って離職率も変化するかもしれません。(が、それはまた別の話。。)

■戻ってこない中国人 どう対処するのか

そこで、実際中国でビジネスをする人間がどう対処すべきかというと、これはもうある程度の数は辞めていくものと予定に含めて計画を立てるほかありません。ホワイトカラーの知能労働者であれば職場環境の改善などである程度辞めていくこと自体を防止することはできますが、特に工事現場や工場労働者などはある程度の人間は戻ってこないことを前提に計画すべきです。
特に連休直後に大きなワークロードが発生する場合などは、その期間を前後にずらせないか検討すべきです。

日本人でも長期連休とか正月休みの最後などに、「あー戻りたくないなー会社行きたくないなー」という心理状態になる人はたくさんいると思いますが、それが実際できてしまうのが中国における春節と国慶節なのです。

中国で仕事をする人は、ぜひ覚えておいてくださいね。

それでは、再見!

しばらく海外で生活していると、日本では定番だけど海外ではお目にかからない慣習や儀式というものが結構あることに気付きます。

例えば接待(これはアジアでは理解してもらいやすいですが)がそうで、外国人に接待の概念を説明しようとしてもなかなかわかってくれません。
せいぜい、"Oh, Business dinner..." とか言われる程度で、顧客は神様になりその場ではどんな無理も通るようなヒエラルキーが出現する独特の空間は理解してはいないようです。
余談ですが、特に欧米ではサービス・商品の提供側と顧客ではあくまで契約を通じた対等な関係なので、顧客とのディナーは文字通り顧客とのディナーで、ヒエラルキーはそこに存在しないのです(もちろん、丁寧で礼儀正しくあることは必要です)。

ところで、日本では4月を迎え多くの会社で入社式が催されたと思います。
この「入社式」という儀式も、海外の人に理解してもらうのが難しい儀式のひとつです。

■日本独特の風習 「入社式」

日本でそこそこ大きい会社は、ほぼ確実に入社式を催しているはずです。入社式は、日本の会社組織では非常に重要な役割を担っています。
ではなぜ日本では入社式があって、外国ではないのでしょうか。

大きな理由の一つとして、日本(と韓国)で一般的である、新卒一括採用があげられます。みんな同じタイミングで入社してきて、そのバックグラウンドも、全員数日前まで学生であったという意味では同じなわけです。
入社式で一般的な祝辞である「皆さんはこれから社会人としての一歩を踏み出しますが…」というあれはそもそも新卒一括採用を前提にしないと成り立ちません。
その点外国の企業はみんな入ってくるタイミングも異なるので、物理的にも入社式というのはできないわけです。

■当社の社員の一員として… (意訳: 会社の歯車になりやがれ)

日本の会社というのは、前述のように何も実務経験のない学生をエイヤっとみんなまとめて採用するので、膨大なコストをかけて一から色々教育していく必要があります。職務経験も無い若者を教育するということで、それはつまり新入社員をその企業向けにカスタマイズすることを意味します。陰謀とかそういうのではなくて、それが一番合理的だからです。

また、企業はここで雇った新人を簡単に辞めさせることもできないし、膨大にかかる教育費用だとか、将来に渡る雇用の保証など目に見えないコストを負担するわけです。
新入社員の側も、基本的に日本は終身雇用を前提としているので、40年近くもその組織で働く人がかなりの割合にのぼります。雇用の流動性が無いこととあいまって、会社に見捨てられたらお終いな面があるので、多少は自己を犠牲にしても会社に尽くしますよ、と宣誓するのです。

というわけで、(会社が沈みかけるまでは)この時点で会社と新入社員は一蓮托生、結婚よりも重いのです。添い遂げるわけですから、儀式が必要になるわけです。

■ウェットな関係の始まり

この組織と労働者の関係は、労働力の対価として賃金を得るという契約ベースのものではありません。このエッセンスが海外の人にはわかってもらいにくいところです。
入社式は、会社と個人が混じりあって結合する儀式なのです。これを皮切りに、プライベートは会社に侵食され、定時後に上司に呑みに誘われたら喜んでお供し、休日も会社関係者とゴルフに出かける生活が始まります。

かような背景が分かっていないと、日本の入社式のコンセプトは理解できないので、外国人に説明するのは難しいのです。

因みに私自身は今の会社には転職組で入ったのですが、前職では新入社員代表の答辞を務めました。
離職率はかなり低い会社でしたが、「会社に貢献することを 云々」全員の前で述べていた人間が率先して辞めていったわけですから、皮肉なものです。
そんなわけで、私自身は入社式というものに若干の後ろめたさを感じています。



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