2014年02月

外国人に対して、期限を設けた仕事を指示していたときに、予定していた進捗が出ていなかったとします。
あなたなら、どのように注意するでしょうか。

■日本式に叱責する

日本人は仕事に対してすごく厳しいです。簡単には休んだりしないし、私生活をなげうって仕事に注力する人が結構います。当然一緒に働く同僚や下請けにも同じ姿勢で働くことを求めます。

日本から派遣されてきた技術者が、海外のワーカーと働いたとき、期待したとおりの成果が上がってきませんでした。
彼は日本で数多の後輩を育ててきた時と同じように、ワーカーをしかりつけました。
「何やってんだ!バカ野郎!」
怒られたワーカーはすぐに仕事をやめました。

日本では"怒鳴りつけて"指導するやり方は珍しくありませんが、よほどのこと(故意に悪事をはたらいた・損害を与えるうそをついた)がない限り、このような指導はよい結果を生みません。
仕事をやめるか、協力してくれなくなるか、よくてせいぜい無視されることになるでしょう。

そんなわけで、「理由を説明せずに」とりあえず怒鳴りつけるスポ根式は海外では通用しません。
(正確に言うと、軍隊経験者には通用することがあります。韓国では男は兵役が義務なので、日本と同様の年長者が偉いという儒教的価値観とあいまって、が説明のない怒りが通用したりします。)

■上から目線で指導する(ただし何をするか懇切丁寧に説明する) 東南アジアの場合

東南アジアでは怒るときはちゃんと怒ることが求められます。

ビジネスの関係においては、基本的に偉い人のことしか聞かないので、自分が指導する立場にある・指揮系統として上にいることをちゃんと態度で示さなければいけません(人としてえらいとかとは別の話です)。

すき放題させていると、遅かれ早かれ舐められて、収集がつかなくなります。
ということで、ワーカーが意に反する行動をしたり、期待にまったく値しない働きぶりだった場合は、きっちり怒る必要があります。

ただし、何が悪かったか、どうすべきなのかはきちんと説明しなければいけません。日本で時折見られるように、とりあえずぶち切れて後は何が悪かったか自分で考えろ式は通用しません。偉い人には従いますが訳わかんない人には従わないのです。
往々にして日本式スポ根指導法はただの訳わかんない人枠にカテゴライズされて下の人間は離れていくことになります。

理由をはっきりさせて、しかしあくまでも厳しく(必要に応じてしかりつけながら)接する必要があります。

■対等な立場で諭すように指導する 欧米諸国の場合

欧米諸国では大声で怒鳴りつけるなどご法度です。そんなことをしたらあなたのほうが即刻悪者です。

海外経験がある人で、東南アジアなどで仕事してきた人が陥りやすい失敗で、上から目線で怒鳴りつけるとすぐに関係が悪化し、仕事がうまく行かなくなります。
(余談ですが、企業は「海外」というくくりでこういう人を配置しがちですが、注意しないと現場が崩壊します)

人と人との関係はあくまで「パートナー」で指揮系統はあるにせよ対等な立場での関係を要求されます。取引先とも、従業員とも契約関係に基づく関係なので、どちらがえらいということはないのです。

ちなみに正論でも人の欠点を指摘するようなのも絶対にだめで、やる気をなくして萎縮するか、反発して言うことを聞かなくなるかのどちらかです。

「でもスティーブ・ジョブズは部下に当り散らしながら相当厳しくやって、世界最高の製品を作ったじゃん」などといっても、そんなのは参考になりません。
欧米人でもそのやり方でついてくるのが極まれにいて、理想に燃えた数%が残ります。人的リソースが潤沢にあって、自分がオーナーなど絶対的な権力を振りかざせるときには有効かも知れません。残るのが数%では普通は仕事になりませんから、普通の人はこういう働き方はできないのです。

で、どうすればいいのかというと、とにかくほめること、感謝することが基本となります。「さすが、君ならできると信じてたよ!」「君の能力には驚かされるよ」など、とにかくポジティブ目に誘導していくことが求められます。

■日本の特異性

もう一度いっておきますが、日本での一般的な、とりあえずしかりつけるやり方はうまく行かないことが多いです。
なぜこのやり方が日本で一般的で、機能しているかはわかりませんが、海外が特殊なのではなく、日本のやり方がかなり特殊な環境のうえで成立している、というのは認識しておいたほうがいいと思います。(なぜ日本でこれが成立するかはまた別項に譲ります)

「○○人は本当にだめだな」というようなことを言う日本人をよく目にしてきましたが、逆に「日本人はえらそうにわめき立てて本当にだめだな」と思われている時があることを頭の片隅に置いておいてください(日本人が本当にだめという意味ではありませんよ!むしろ一般的に優秀です)。

必要なのは結果を出すことであって、スタイルは模索しなければなりません。
こういうことを書いておいてなんですが、私もステレオタイプに陥らず怒ったりなだめられたりしながらやっていきたいと思います。

Thank you for your cooperation!

アメリカと日本は結びつきが強い国ですが、アメリカ人は日本のことをどのくらい知っているのでしょうか。

◼︎車でどのくらいかかるの?

ある日系企業で働いている米国人と話していて、こんなことを聞かれました。
「日本から中国まで、車でどのくらいかかるの?」
そう、彼女は日本と中国は陸地で繋がっていると思っていたのです。(しかも彼女は日系企業に勤務しているのです!)

日本が島国でああることを知らない人は結構いて、場合によっては中国の一部だと思っている人がいるのも事実です。

◼︎世界の中心 We are USA!

アメリカ人は外国のことに興味がない人が多いというのは前のエントリで書きましたが、世界地図をなんとなくでも書けない人もわりかし普通にいます。極東の島国を地図に書けない人がいるのは不思議でもなんでもありません。

アメリカ人のパスポート所有率が低いというのは、前出のエントリで書いた通りですが、海を見たことが無い、という人もかなりいます。これは広大な国土を有しているため、ほとんどが内陸地であることに起因します。
また、飛行機に乗ったことがない人、例えばニューヨークに行ったことがない人もたくさんいます。

それだけならまだしも、自国の戦争の舞台であった、イラクやアフガニスタンの場所を知らない場合すらあります。
なんとも愕然とする話ではないですか。

そんなアメリカ人の日本・中国・韓国の認識をインタビューした動画がありました。

嘘だろ、と思うような回答もたくさんありますが、このような認識のアメリカ人は珍しくありません。ただし、動画中の黒人の彼が正確な知識を持っていたことからもわかるように、ちゃんとした知識、興味を持っている人もたくさんいます。

でも、日本人でもごく稀に「ヨーロッパ」という国があると思ってる人とかいるので、あまりよそ様のことばかりも言っていられないのですけれどね。


◼︎関連記事
世界の2大田舎 アメリカと日本

日本の社会に立ち込める息苦しさの正体は何でしょうか。
もっと言うと、日本の会社に渦巻く息苦しさの正体は何でしょうか。
仕事について語る外国人たちと話しながら、そんなことを考えました。

■一生をささげられる仕事

日本でもすっかり有名になりましたが、スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式でのスピーチを聴いたことがあるでしょうか。聴いたことがない方は、YouTubeでも見れるのですぐにでも視聴してみてください。本当に感動的なスピーチです。

ジョブズはこのスピーチで自分の全身全霊を捧げられる仕事を探し、見つかったときにはそれに全精力をかけて取り組むように勧めています。
私はこの言葉に感銘を受けました。そして少しでも自分の人生を自分のハンドリングでコントロールしていこうと決めました。

ただ、問題があることに最近気付きました。

世の中のだいたいの人は驚くほどやる気がなく、また私も驚くほどやる気のない人間の一人だったのです。

■みんなびっくりするほどやる気がない フランス人の場合

世界一最低なサービスクオリティーで有名なフランス人は、レジ打ちをするのにも時間がかかりますし、列がいくら後ろに伸びていても世間話をするのに一生懸命ではっきり行って顧客満足なんて自分の仕事じゃないから知らん状態です。仕事で頼みごとをしても、まずは "Non" から入ります(そして実際にやってくれません)。

しかし、仕事は大事か?と聞くと、もちろん大事だ、何をそんな愚問を、というような反応をしてきます。人生を愛している、そして仕事はきっちりやる、というようなことを言ます。
「ああ、やっぱりやることはちゃんとやるんだな。さすが!」とか思って、明日が正念場だね、というようなことを言ったら、「いや、俺は明日は休暇だから。というか明日から休暇だから今日も仕事とかしてる場合じゃないよ」みたいなことを平気で言ってきます。

■みんな驚くほどやる気がない 中国人の場合

成長著しい中国人のワーカーは、中国では物価の値上がりが激しいし、がんばらないとまともな暮らしができない、だから自分は相当の覚悟でこの仕事をやってるんだ、ということを訴えかけてきたりします。

なかなか感心、寝ぼけた日本人とは違うな!とか思っていると、仕事で一言注意されてから会社に来なくなった、とかいうことがあります。

■みんなうっとりするほどやる気がない タイ人の場合

人柄が穏やかで大変親切なことが有名なタイ人。「あなた方と仕事ができるのは大変な喜びです。私は社会的な使命を持ってこの仕事をしているんです。この関係はタイと日本の両国の~・・・云々」、さすがタイ人は仕事に対するモラルが高いなと感銘を受けて、「明日までにこれをやっておいてほしい」というようなことを頼むと、「いや、それは私の仕事ではないから、できない」とか言います。
「いや、そんなにむずかしいことじゃなくて、、、」と言っても、そういう問題ではなく、そういう単純なことは自分のような人間がやることじゃないからやればできるだろうけど無理。と語義矛盾なことを言ってきます。

■みんなうんざりするほどやる気がない アメリカ人の場合

非常に前向きで押しの強いことで知られるアメリカ人。自分がいかに大変で、この仕事は自分がプロフェッショナルで、自分でなければこんなにうまくまわすことはできない。おかげでめちゃくちゃ忙しい。とアピールするのも忘れません。

ほんとにその通り、頼りにしてるよ、と思って「大変なのはわかるけど急ぎの仕事があるからやってくれるかな?」と頼むと、いかに自分がちゃんと仕事をしていて自分のおかげでこの仕事があって、おかげでぜんぜん休んでなくて要するに絶対無理、ということを1時間くらいかけて説明されたりします。
いや、この1時間でほとんどできただろう、と思っても口に出したりしてはいけません。貴重な1時間をさらに無駄にすることになります。

■みんなげんなりするほどやる気がない イギリス人の場合

常に皮肉屋で、明るく楽しいアメリカ人とは違って思慮にとんだ人物であることを感じさせるイギリス人。

「よろしく、お互いがんばろう。ところで僕はこの仕事を1秒でも早くやめたい。ところで今日はもうビールが飲みたい。だから君にはほんとにがんばってほしい。そして僕はこの仕事をやめたい」と、「仕事で自己実現!」みたいな世界とはまったく違う世界の住人であることを感じされる知性あふれる言い回しをしてくれたりします。

■みんなやる気がある? 日本人の場合

翻って日本人はどうでしょうか。

多少無理のある依頼があったとしても無理を通して何とか仕事を仕上げ、「~さんのお願いですから、喜んでやらせていただきました」とか、「大変な経験でしたが、この経験が自分を一回り大きく成長させてくれたと思います」とかすばらしい勤労姿勢を見せてくれます。

みんな深夜まで残って仕事をしていたりして、「~さんもがんばっているんですから自分だけ楽をするわけにはいきませんよ!」というような会話があったり、「仕事で大切なのはお金じゃないと思います」という発言があったりして、めまいがするような勤勉性を見せ付けてくれます。
理不尽に怒られたりしても、「~さんは自分のことを思っているからこそ・・・」というように美談にしてしまったりします。

でも、これみんな本当に心の底から思っているのでしょうか。

そんなことないですよね。
みんな休みたいし、怒られたら辞めたくもなるし、くだらない仕事はやりたくないし、がんばっていたら認めてほしいし、ほんとのことを言うと仕事ばっかりせずに遊んでいたいと思います。

でも、現実の場でそんなことを言う日本人はほとんどいないと思います(ネットの場合はいっぱいいます。というかほとんどそんな感じです)。
どうも日本人は仕事に関する本音を言えるような環境ではないようです。

■仕事は辛くなくてはいけない

どうも日本人には、仕事は辛いものだ、業だ、精神を磨く修練の場だ、みたいな意識があるようで、自分が楽をするのもはばかられるようです。
また、自分に課すだけだったらよいですが、この価値観を周りの人にも強要しているように感じます。
気楽に楽しく仕事をしている(ように見える)人がいると「仕事とはそんなに甘いもんじゃない」とか、「いつかぼろが出る」とか親切な助言を投げかける人がなんとたくさんいることか。

また、年配の方にありがちなのが、「自分のときはこんなに大変だった。自分が辛い思いをしたのだから下の世代も辛くなくてはいけない」というメンタリティーです。いわゆる体育会系理論というやつですね。

そしてすべての苦行は「ありがたいもの」として受け止めなくてはならない、という圧力を感じます。

■ほんとのことを言ってもいいのでは?

もしあなたが、仕事があまり好きではなくて、あまり前向きにはなりたくて、仕事なんか早く終えて帰りたくなっても、それはあなたがだめな人間だからではありません。

それが普通なのです。

世界中ほとんどの人は驚くほどやる気がありません。むしろ自ら使命に向かって努力を欠かさない人というのは少数派です。
もちろん、絶えず研鑽を重ねて新しい世界を切り開いていく人は絶対に必要ですし、できれば自分もそうありたいと思います。

しかし、それ以外の存在を許さないような世の中というのは息苦しいに違いありません。本音の存在を許さない空気が、日本を息詰まるものにしているのではないでしょうか。

世の中には、仕事に燃え、理想を追求する人だけではないことを理解する必要があります。
こじつけてしまえば、これも多様性のひとつなのです。

韓国には2種類の労働者がいます。
財閥系企業の社員か、それ以外かです。

■巨大な財閥

韓国の経済においては、財閥系企業が非常に大きなウェイトを占めています。世界中どこの国でも大企業が巨額の売上高を誇るのは変わりませんが、韓国では財閥系企業に極端に偏重しています。

韓国経済のどのくらいの割合を財閥系企業が占めているかというと、財閥10グループで実にGDPの75%以上に及びます。
さらに、巨大財閥の中でも比率の大きいサムスンとヒュンダイ自動車だけで、韓国GDPの33%、実に3分の1を稼ぎ出しています
またさらに言うと、にサムスングループだけでGDPの17%を稼ぎ出します。

これがどういうことかというと、圧倒的大多数の財閥企業に属していない人たち全員でGDPの残りのわずか25%弱を分け合っている状態です。

ちなみに日本は売上高1位はトヨタ自動車で、日本のGDPに占める割合は約4%です。韓国経済がどれだけ巨大財閥に依存しているかわかりますね。

■数字で見る財閥依存度

気になったのでさらに計算してみました。

韓国全体
- GDP 11,300億USD
- 人口 約50,000千人
- 1人あたりGDP 22,600USD

サムスングループ
- 売上高 2,475億USD (すごいですね!)
- 従業員数 369千人

現代(ヒュンダイ)自動車
- 売上高 726億USD
- 従業員数 34千人

ちなみに日本人の一人当たりGDPは "48,115USD" です。
一人当たりGDPでは、韓国人の2倍強の数字となります。

ここで、サムスンと現代自動車を除いた韓国人の一人当たりGDPを計算してみると、一人当たり "16,330USD" ということになります。
日本の一人当たりGDPの約3分の1程度になってしまいます。

もちろん、従業員数には外国人も入っていますので正確に韓国人の水準とはずれてきます。また、売上高は外部環境によって左右されますので、2社だけを取り上げるには振れ幅の大きな数値です。
しかし、規模の大きい会社だけでどれだけインパクトがあるかというのは実感できるかと思います。
蛇足ですが、サムスンやヒュンダイが国全体の統計に与える数値があまりに大きいので、これら大企業を除いた数値を正式に統計しようという動きがあるようです。

■過酷な入社試験

そんなわけで、サムスンやヒュンダイをはじめとした財閥グループは、韓国の他企業とは一線を画した給与水準を誇ります。
このため、韓国で一定の水準以上の教育を受けた人は、まずこうした大企業への就職を目指します。

サムスンの入社統一試験は "SSAT" (SamSung Aptitude Test, 通称サムスン統一試験)と呼ばれ、毎年10万人近くが受験します。この10万人、という受験生も、一流大学を優秀な成績で卒業した人たちに限られます。
韓国の書店にはSSATの受験参考書が平積みされており、さながら日本における大学入試センター試験のようです。

SSATの受験資格があるだけでも限られた人材ですが、SSAT自体の倍率も20倍以上あります。ヒュンダイやLGといったほかの大手財閥企業も、それぞれ同様の統一試験を課しています。
サムスンをはじめとした財閥王手に就職できるのは、韓国社会のエリート中のエリートなのです。

■88万ウォン世代

一方で、こういった財閥大手に就職できなかった若者はどのような境遇にあるのでしょうか。

2009年頃に、韓国の若者の窮状を表す「88万ウォン世代」という言葉が有名になりました。
大卒で高い教育を受けながら、月給88万ウォン(7万円~8万円程度)で暮らす若者たちを表した言葉です。大手財閥は韓国経済の大半を稼ぎ出しますが、雇用はそこまで大きくありません。大学就職率は50%を下回ります。
大学教育を終えた人たちの半数以上は就職できないのです。
(しかしながら、韓国で発表される失業率は非常に低い水準で安定しています。この件は別項で書きたいと思います。)

■韓国のスーパーエリートたち

私は韓国の某大手財閥企業と仕事をしたことがあるのですが、仕事ができるか否かは推し量りかねますが、圧倒的に勉強ができるオーラと自信はひしひしと感じました。

特に彼らの英語力たるや見事なもので、20代、30代で英語を流暢に話せない人間はいません。私はまったくエリートとはいえない人間なので、同世代の彼らの英語力には関心しきりでした。
契約条項をつめる打ち合わせでは法務部の若い社員が出てきたりしたのですが、まったくよどみのない英語でマシンガンのように言い立ててくるので圧倒されたりもしました。口ぶりからするとおそらく米国の大学を卒業した帰国子女だったようです。

日本は一部の官僚以外はエリートだと自認している層はほとんどいないと思われますが、彼らは明確に自分たちが韓国経済を引っ張る指導層だと認識しているようです。

私がもし韓国に生まれていたら、こういった大企業には入れず、大多数の「88万ウォン世代」の一人として生活する可能性もあったのだろうなぁ、と考えたりしました。

■選ばれし民とそれ以外

このように、韓国では10大財閥が雇用する一部のエリート(人口の7%弱だそうです)が富の7割以上を独占し、残りを大多数の国民で分け合う構造になっています。
どう見てもアンバランスな構造ですが、泣き言を言っていても始まりません。

一部のエリートとそれ以外の間には、日本人には想像もつかないような格差が横たわっているのです。生きるか死ぬか、ふんぞり返って故郷に錦を飾るか、一生恨み言をつぶやいて惨めに生涯を終えるか。。。彼らにとっては大袈裟でもなんでもないのです。

それではアンニョンヒ ケセヨ!

アフリカに渡航したことがある人はどのくらいいるでしょうか。

エジプトは比較的多そうですね。モロッコ・アルジェリアをはじめとしたサハラ以北のアフリカに訪れたことがある人はそこそこ多そうです。
南アフリカもアフリカ大陸初のサッカーワールドカップを開催しましたし、割合身近な国といえるでしょう。

アフリカは「最後のフロンティア」と呼ばれることもあるとおり、まだまだ市場経済が浸透しておらず、ビジネスの面ではこれから大きな発展が見込まれるということは衆目の一致するところでしょう。
しかしながら、特にサハラ砂漠以南のアフリカ諸国ではまだまだ必要なインフラは整っておらず、紛争・内戦も頻発しハードルが高いことは確かです。
ビジネスに限らず、旅行でもおいそれと訪れることができる場所ではありません。

そんなアフリカへの訪問をよりいっそう難しくしているのが、かの地でまだまだ猛威を振るう伝染病への対応だと思います。
特にサハラ以南のアフリカ(サブサハラ・アフリカと呼んだりします)へ渡航する際には、伝染病の予防が必須です。

私も黄熱病を始め、各種の予防接種を受けています。
ここでは、サブサハラ地域へ渡航する場合の必須予防接種などを備忘録をかねて列挙します。

■トラベルクリニックの受診

必要事項を列挙します、と述べておいてなんですが、特に長期渡航を計画している方はトラベルクリニック(海外渡航者外来)を受診することをお勧めいたします。
アフリカといっても非常に広いので、渡航する国によって必要な予防接種は異なります。また、場合によっては例年と異なる伝染病がはやっている場合もありますので、基本的には医師の判断を仰いでください。

東京では以下のような病院で受診できます。

関西では梅田トラベルクリニックなどがあるようです。
Googleなどで "お住まいの地域" + "トラベルクリニック" で検索すると最寄のトラベルクリニックを探せると思います。

基本的に完全予約制なので、事前に渡航先と期間などの情報の伝達と一緒に予約してください。

■黄熱病

黄熱病といえば、故野口英世博士が研究に取り組み、研究中に罹患してなくなったことでも有名です。

この黄熱病ですが、マリ・ガーナ・ルワンダ・アンゴラをはじめとして、中央アフリカの多くの国では黄熱病の予防接種を受けていないと入国できません(ビザが発行されません)。
黄熱病の予防接種を受けると、「イエローカード」と呼ばれる黄熱予防接種証明書が発行されます。

どの国への渡航にイエローカードが必要かは、厚生労働省検疫所のWebサイトが詳しいので参照してください。

必須国意外にも、ブラジルなど南米地域で予防接種が推奨されます。
ワールドカップもあるので、受けておくと安心!

黄熱病の予防接種は約10年間有効有効なので、渡航が決まった方はなるべく早めに受けておくことをお勧めします。
また、黄熱病の予防接種の後2週間はほかの予防接種を受けられませんので、近々に渡航の予定がある方はほかの予防接種も鑑みて予防接種の計画を立てる必要があります。この点忘れられがちなので注意です。
担当の医師とスケジュール相談し計画的に予防接種を受けてください。

■狂犬病

もっとも危険な病気というとエイズなどを挙げる方は多いと思いますが、「狂犬病」も史上最も致死率が高い病気として認定されています。
南極大陸を除くすべての大陸で感染が確認され、清浄国はイギリス・北欧・オーストラリアなどごく一部の国に限られます。

犬に限らずあらゆる野生動物から感染する可能性があるため、途上国の田舎などに滞在する際は受けておいたほうが無難でしょう。

ちなみに発症後の死亡率は99.99%と非常に高く、世界でわずか数名の回復事例しか報告されていません。
予防接種を受けていても野生動物にかまれた場合は医療機関に相談し曝露後予防接種を受けてください。

日本では一般的に4週間間隔で2回の予防接種と、半年後の追加注射が必要になります。が、半年から1年先のことがわかっている人はほとんどいないと思われるので、実際は2回の予防接種を受けて渡航する人が多いようです。
黄熱とあわせて、計画的な予防接種が求められます。

■破傷風

破傷風は土壌中の破傷風菌が傷口などから体内に侵入することで感染します。したがって、衛生状態が悪い国では感染する可能性があります。

子供のころに3種混合ワクチンの定期予防接種を受けている人は多いと思いますが、20代後半くらいから免疫が消えるので、追加の予防接種をする必要があります。

■A型・B型肝炎

A型・B型肝炎は感染経路、症状ともに異なりますが、同時に予防接種を受けることができるので、できれば両方受けておいたほうがいいでしょう。ちなみに破傷風、狂犬病も同日・同時に予防接種を受けられます。
どうしても片方なら、A型肝炎の予防接種を受けてください。

特に先進国で育った人は抗体保有率が低いので、先進国から途上国に行った場合に感染する事例が多いです。

■マラリア

サブサハラアフリカでもっともポピュラーな病気といえば、マラリアです。

マラリアは細菌やウイルス性の病気ではなく、マラリア原虫が寄生することによって感染します。このため、抗体ができるというものではないため、予防接種はありません。

代わりにマラリアは予防薬があります。
マラロン・メファキン・ビブラマイシンなどの予防薬があります。これを飲み続けることで、一般に90%程度の予防率となります。(完全に防げるわけではないことに注意)

マラロンは毎日1錠飲み続けねばならないなど、服用方法はそれぞれ異なります。また、重くはありませんがそれぞれ副作用もありますので、医師と相談の元服用を決めてください。

マラリアは蚊を媒介としますので、マラリア予防は虫刺され予防が第一となります。首回り・耳・手足などの露出部分には必ず防虫スプレーを噴霧してください。また、就寝の際にはドア・窓を確実に閉め、蚊帳を使用してください。
できれば長袖長ズボンでの活動を推奨します。

マラリアは初期は風邪と同じような症状がでます。少しでも体調が悪いと感じたらマラリアを疑い、現地の医師に相談してください。早期に治療できれば確実に治る病気です。
(アフリカの場合、信頼できる医療機関がなかなか見つからないというのも問題なのですが。。。実際はマラリアに罹患していなくとも、かなりの確立でマラリアと診断されることがあるようです。)

とにかく防虫、疑わしいときは診察が基本です。

■アフリカで戦う、疫病と戦う

アフリカではここで挙げた以外にも、ポリオや腸チフスなど、さまざまな疫病のリスクがあります。
ここでは私の経験を元にこんな予防接種が必要ですよ、という例を挙げましたが、基本は医師の判断に基づいてください。
あらかじめ渡航がわかっているときは、早めにトラベルクリニックに相談に行くことをお勧めします。

海外渡航時の予防接種については、厚生労働省検疫所のサイトが参考になります。

旅行でアフリカを見聞したい、困難にある人々を助けたい、急拡大する市場でビジネスしたい、など様々な理由でアフリカに渡る人がいると思います。本来の目的に集中するためにも、疫病予防の対策は打った上で滞在したいですね。

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